事例

ユーザックシステム株式会社 お客様自らジャーニー体験するWebサイトリニューアルを実現

ユーザックシステム株式会社 お客様自らジャーニー体験するWebサイトリニューアルを実現

ユーザックシステム株式会社 執行役員 マーケティング担当 大崎豊 氏

お客様の業務課題を解決するノウハウとシステムをパッケージソフト化した、『名人シリーズ』を提供しているユーザックシステム株式会社。近年、同社が注力しているのがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ソリューション事業です。ユーザックシステム社では、事業成長に向けてデジタルマーケティングに注力しており、その受け皿となるWebサイトのリニューアルを弊社が担当し、2022年12月にリリースしました。

本稿では、ユーザックシステム株式会社 執行役員 マーケティング担当の大崎 豊 氏に、デジタルマーケティングの取り組みとWebサイトリニューアルの効果についてうかがいました。

RPAという言葉が世に出始める前から業務の自動化に取り組む

<style> #section2{text-align: left;}</style>RPAという言葉が世に出始める前から業務の自動化に取り組む

大崎氏

御社の事業概要について教えてください。

ユーザックシステムは、1971年に設立されました。基本的に弊社の製品は、お客様の業務課題を解決するものです。受発注ソリューション、物流・帳票ソリューション、そしてRPAソリューションの3つが柱になっています。

弊社はRPAという言葉が世に出始めるよりも前から、19年間にわたって業務の自動化に取り組んでいます。ノウハウは豊富にあります。あとは、どのように知名度をあげていくのかが課題であり、この課題に3-4年ほど向き合っています。

具体的な取り組みは毎年異なりますが、展示会への出展やプレスリリースの発信、加えてリファラルがほしいので、外部メディアを活用した発信も行っています。たとえば『ASCII.jp』にRPAのマイクロサイトを作って2年以上展開していますし、『ITmedia』や『BOXIL』などの外部メディアも活用しています。また、SEOに特化した記事コンテンツを継続的に制作しています。

現在、最もマーケティング費用をかけているのがRPA事業です。弊社では、売上の3%を販促費として使っていて、そのうちの70-80%をRPAの販促に使用しています。RPAに注力している理由は、市場規模の大きさとターゲット層の広さです。RPAは業種を問わないので、弊社の他のサービスと比べて、5-6倍はリードを獲得して案件化できます。マーケティングがより貢献できるRPAにマーケティング予算を集中投下しているのです。

事業別の売上規模でみると、RPAはまだ25-30%くらいの比率ですが、中期経営計画ではRPAを伸ばしていく方針です。前年比で20-25%ほどの伸びを目標にしており、新規顧客を獲得していくことが現在の課題です。

『THE MODEL』をベースにマーケティング組織改革を進める

大崎さんがマーケティング本部の執行役員として進められてきた取り組みを教えてください。

私は2019年6月にユーザックシステムに参画しました。弊社は営業中心の会社だったので、当初マーケティング部門は営業の下請けになっていました。参画してすぐに『THE MODEL』をベースに、組織改革を行いました。

『THE MODEL』は、弊社代表取締役社長の小ノ島(当時取締役 マーケティング本部長)も自社に取り入れたいと考えていました。私が参画した時点で、RPA事業部にはカスタマーサクセスが配置されており、『THE MODEL』と同様の組織体、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの体制で進めることができました。小ノ島はマーケティング本部に十数年いたので、マーケティングについての理解があったことは助かりました。

『THE MODEL』を組織に浸透させるため、全社員に本を読んでもらい、著者の福田 康隆氏が『THE MODEL』について説明している動画も共有しました。新人研修でも『THE MODEL』の説明をして、学んでもらっています。

Salesforceを軸にデジタルマーケティングを推進

さらに、参画して1年後にSalesforceを導入しました。以前は営業部はMicrosoft Dynamics 365を、マーケティング本部はAdobe Marketo Engageを導入していましたが、Microsoft Dynamics 365の活用は全くされていない状況でした。商談管理をきっちり進めていくためには、ツールを全て刷新したほうがうまくいくだろうと考え、CRMはSalesforce、マーケティングオートメーション(MA)はAccount Engagement (旧Pardot)に入れ替えました。

Salesforceの活用は、マーケティング本部主導で進めました。ただし、営業部にも当事者意識を持ってもらうため、Salesforceの設計は営業部のリーダーを集めて進めました。私自身は口を出さず、3カ月かけて固めていきました。現在はSalesforceを使いこなすところまできています。経営会議でもSalesforceの数字から報告されています。また、インサイドセールスのリーダーがSalesforceの全社推進を行い、活用を進めるためにダッシュボードを事業部ごとに作り、率先して活用を推進しています。

マーケティング本部の体制は、マーケティングチーム、インサイドセールスチーム、事業部企画チームがあります。事業部企画チームは、営業・商品戦略に携わっており、営業との連絡係でもあります。

マーケティングチームがリード獲得、ナーチャリングを行い、インサイドセールスへ渡すリードをMQL(Marketing Qualified Lead)としています。MQLの中で、サービス資料請求者はファストパスMQLにて、すぐにインサイドセールスがフォローしていますが、お役立ち資料請求者はマーケティングチームがMAを活用してナーチャリングした上でインサイドセールスへ渡すようにしています。(図表1参照)

<style> #section4{text-align: left;}</style>Salesforceを軸にデジタルマーケティングを推進

図表1:リードステージ

リード獲得後のMQL創出、さらにSQL創出は、毎月の目標を達成していますが、SQLからの受注率30%の目標は達成できていません。失注理由を見ると、「メールを送ったが2日経っても返信がないので失注にした」といったコメントがあり残念な気持ちになりました。せっかくマーケティング本部でナーチャリングして営業に渡したリードを、充分なアプローチをしないで失注にしているのです。受注に向けて営業をどう動かすかが大きな課題です。

お客様の動線をふまえたWebサイトへリニューアル

デジタルマーケティングに注力するなかで、Webサイトリニューアルを実施した背景を教えてください。

<style> #section5{text-align: left;}</style>お客様の動線をふまえたWebサイトへリニューアル

デジタルマーケティングの入口はWebサイトです。その意味でもWebサイトは重要だと見ています。リニューアル前の実状は、毎月アクセスレポートを出すなかで、数字が落ち気味でした。なぜ、数字が落ちているのかを調べたところ、自然検索経由の集客が落ちていたのです。さらに、フォームからの離脱率が異常に高くなっていました。「この数字、本当に正しいの?」と思うほどでした。フォームまで来ているのに、コンバージョン(CV)する率が5%程度でした。

EFO(入力フォーム最適化)を一生懸命やっていたのですが、数字は少ししか改善していませんでした。理由を深掘りしていき、フォームに来るまでの動線でお客様が求める情報を提供できていないと考えました。そこで、お客様の背中をもう一押しするための施策として、動線を意識したWebサイトリニューアルを行うことに決めたのです。

パワー・インタラクティブを選んだ理由は、ビジネス観点の提案があったから

Webサイトリニューアルの依頼先に弊社を選定された理由を教えてください。

コンペには、3社に参加いただきました。各社の提案をうかがって、御社以外の2社はSEOなどの集客が提案の主体でした。御社は、どのようにリードを獲得していくか、カスタマージャーニーをどう設計するかなど、ビジネスで成果を上げる観点から提案してくれました。

私はマーケティング本部の責任者であると同時に経営層でもあるので、Webサイトは、ビジネスを伸ばしていくための1つのアイテムという考えです。要件定義書にはRPAのマイクロサイトの作成を入れていたのですが、そこに触れてくれたのはパワー・インタラクティブさんだけでした。

提案を受けて、私のなかでは御社に即決でした。「Webサイトリニューアルとはこういうことだ」と、改めて感じました。意見を言い合うことで最適解が生まれると思っているので、こちらから意見も言いますし、御社から提案もいただきながら進められたのはよかったです。RPAのマイクロサイト含めスケジュールどおりリリースいただき満足しています。リニューアルの社内報告をした際にも「見やすくなった」「見たい情報にたどり着きやすくなった」という声がありました。経営層の反応もよく、ホッとしています。

WebサイトリニューアルによってCVが増加

Webサイトリニューアル後、約5カ月が経過しましたが、効果はいかがでしょうか?

今回のリニューアルでは、下層ページを少なくして目的の情報にすぐにたどり着けるよう階層を浅くしました。最初の2-3カ月はPVが減るのを覚悟していましたが、減りませんでした。各指標の数字も落ちずにCVは増えているので、効果はあったと見ています。

今後は集客チャネル(リファラル、メール、広告、自然検索)別のバランスのとれた効果が出るよう施策を進めていきたいと考えています。

リニューアル後はカスタマージャーニーに沿ったコンテンツの量産に取り組む

Webサイトのリニューアル後、デジタルマーケティングの活動に変化はありましたか?

リニューアルと並行して、MAの活用を進めています。それまでステップメールは実施していましたが、2023年に入って施策を増やしました。例えば、展示会後のフォロー施策として、展示会のバーコードで獲得したリードへ開催後翌日に1本目のメールを配信、開封したら2本目のメールを配信、未開封者へは件名を変えて2回配信しています。それでも反応しなければフォローは止める、といったように3段階のアプローチをかけています。実施したところなので、成果を見るのはこれからです。

リニューアル時に作成したコンテンツはインサイドセールスが活用しています。インサイドセールスがお客様と会話をするなかで、カスタマージャーニーのどのフェーズにいるのかを汲み取り、態度変容させるために必要なコンテンツを棚卸して、マーケティングチームに作成依頼しています。また、Sales Docというフォルダー管理システムを利用して営業資料のリンク先を送ると資料の何ページまで見られたかを把握でき、HOT度合を確認しています。

比較検討段階にいるお客様へは他社との違いを整理したコンテンツを送付、導入を決めに入っているお客様へはトライアルを勧めるといった対応を行っています。

自社で運営している、RPAに関するコンテンツを集めたマイクロサイト『RPA mook』では、毎月4本の記事を公開しています。

<style> #section8{text-align: left;}</style>リニューアル後はカスタマージャーニーに沿ったコンテンツの量産に取り組む

「RPA Mook」は、RPAの知識を得たい人からサービスを知りたい人まで、カスタマージャーニーに基づいたコンテンツを準備。グローバルメニューの並びにも反映。

ただし、コンテンツが圧倒的に足りないので、量産する方法を社内で考えています。いま流行りのChatGPTを使ってテストをしていますが、まだ難しいですね。コンテンツは、ただあればいいわけではなく、中身のあるコンテンツでなくては意味がありません。中身のないコンテンツを公開しても逆効果になってしまうだけです。いいコンテンツを作ろうと思うと社内リソースでは無理、営業に頼むと機能の説明ばかりになってしまう、ということで、外注を活用しながら進めています。

お客様に何を理解してもらって、どのような行動を起こしてもらいたいかを意識したコンテンツ作りが大事です。SEOを意識している記事は、どれも同じような記事になってしまいます。弊社ならではの情報を提供できるようにこだわっています。

世の中の動向をふまえ自社のマーケティングについて議論できるパートナーを求む

今後の展開について教えてください。

<style> #section9{text-align: left;}</style>世の中の動向をふまえ自社のマーケティングについて議論できるパートナーを求む

マーケティングというものは、標準化が難しいと思います。マーケターはスペシャリストなので、マーケティング未経験の人が社内異動で来てもすぐには活躍できません。とはいえ、そう簡単に人材採用はできないので、外部のスペシャリストに頼る必要があります。

弊社はユーザー側の立場で見ているので、外の世界がなかなか見えない状況です。世の中の動向を共有してもらいながら、弊社のマーケティングを一緒に考えてくれるパートナーを求めています。御社には、ぜひその役割を担ってほしいと希望します。将来的には、対外的に自慢できるマーケティング部門にしたいと考えています。

プロフィール

大崎 豊 氏
ユーザックシステム株式会社 執行役員 マーケティング担当

外資系企業で営業およびマーケティングに従事。その後、マーケティングエージェンシーに転籍後2019年6月よりユーザックシステムのマーケティング部門に就く。IT企業のマーケティング、インサイドセールス、営業のDX推進を積極的に展開している。
ユーザックシステム https://www.usknet.com/

担当コンサルタントの声

弊社を選定いただいた理由として、「ビジネス観点の提案があったから」という言葉をいただき非常にうれしく思っています。RPAという競争が激しい市場の中でどのようにユーザック様の強みを打ち出し、ターゲットと関係を作り上げていくかということを特に意識してサイト設計を行いました。リニューアルはゴールではありません。描いたビジネスゴールに向けてマーケティングで何ができるか一緒に考えるパートナーとしてサポートしたいと思います。

コーポレートサイトでは、多くの製品を扱っているなか、サイト訪問者が目的とする製品・サービスにたどり着きやすいよう、探し方やカテゴライズを議論し、製品ページへの動線を設計しました。

インタビュー実施日:2023年5月22日

久道 真之介

マーケティングコンサルタント

久道 真之介

マーケティング戦略策定

通信会社で法人向けの営業を8年経験。その後起業を経験し、2010年にパワー・インタラクティブに入社。Webサイト制作のディレクションからリスティングの運用、アクセスログの分析など現場での業務を経験し、現在はマーケティングコンサルタントとして、BtoB・BtoCのデジタルマーケティングの戦略立案から伴走支援までを行う。

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